そろそろ新しいハードディスクの時期かなあ…。

コレクターっていう人種は今にはじまったものじゃない。ヲタクだとかマニアって言葉が出来たのは最近だろうけど、この手の人は人類が生まれた時から存在してると思う。
その中でも「高尚」とされているのが書物の収集家。図書館なんかの走りも間違いなく「本ヲタ」だったと思う。今では公共機関なのだから書物ヲタの地位はとんでもなく高いところにあるわけだ。
書籍コレクターの心理はよくわからないけれど、おそらく「その知識が必要になった時手元にあった方が良い」というものだと思う。自分が必要な知識、読み終えた本を並べたって、その量はたかがしれている。本だけ読んで生きている人はいないのだし(長い歴史の中にはごく少数ならいたかもしれないけれど)、知識は何かを為すために使う道具のようなものだから、やはり主と従の関係でいえば従の方に分類されると思う。
つまり、「今の段階では役に立たないもの」を大量に所持するのが収集家なんだから、やっぱり昔は圧倒的に少数派だったはずだ。でも、パソコンがこれだけ普及すると「プチコレクター」がわんさか出てくる。きっとそうなるハズだ。
現代の世の中ってのはとにかく消費が美徳になる。資本主義自体がとにかく大量に作って大量に消費してくんなきゃ困るわけで、もはや一つの強迫観念みたいなもんだ。「何人の女とヤった」なんてのが美徳なんだから、こりゃ昔の人が聞いたら腰抜かすぞってなもんだ。
パソコン整理をした。大量のエロ動画が出てきた。これって人数に直すと何人の人生を切り取ったもんがこのパソコン中入ってんだ?って思ったらちょっと変な気持ちになった。人生のおそらくピークに近い時期ばかりを切り取ったもんが、それこそ星の数ほど詰まってんだなあ。そこにはその人数だけの、人生だとか思いみたいなもんがあるのに、こちらは「記号」としての消費をするだけ。普段意識しないけど、これってちょっと考えてみたらとんでもないことだぞと思った。
ituneのライブラリを見た。5000曲くらいか。まあディープな人に比べれば雀の涙だけど、それでもおぞましいほどの量だと思う。
こいつはちょっと別の視点も意識しなきゃなんないなあと思った。そのおぞましい量のアダルト動画が最初に手に入れて、文字通り擦り切れるほど見たアダルトビデオ一本に勝てるか?その5000曲が、当時月のおこづかいが1000円の時に初めて買ったミスチルの3000円もしたアルバムCDに勝てるのか?
大量生産大量消費の時代を見直そうという時代が来ている。まあ資源自体は有限だから、循環型社会に移行してこうってのは的を得てると思う。ただ、その一方、「知」に関しては加速度的に大量生産大量消費に移行していくだろう。昔は文字を書くのなんて特別な仕事をしてる人だけだったのに、ネット環境さえあればブログで誰でも世界に向けたコメンテーターってわけだ。誰もが表現者になるってことは、本当に飛躍的に飛び交う情報量が増えるってことだ。厳密な意味で著作権を完全に守っている人なんてのは、もはや存在しなくなるだろう。
資源と違って、情報は無限だ。そこに人がいれば発生するものなのだから。ただ、それならいいやいいやで右から左に流していくのはちょっとおかしなことになってしまうような気がする。かといって、「一本のAVを一年間見続ける」なんて時代にはちょっと戻れない。どのへんのトコで折り合いつけるかが難しいところだ。