かわったね、かわらないね。

知ってるか?若い女に久々に会う時には「変わったね!」って声かけるんだ。大人の女に久々に会う時には「変わらないね!」って声かけるんだ。

中学1年の時に柏木くんが発した名言だ。中学生の男子が集まれば必ず花開く「女ってのはさ〜」談義だ。
今見ればイタいだけの会話なのだけど、ある種の「熱」があった。例えるならば、今にも沸騰して水分が全て蒸発してしまうんじゃないかと思うような鍋のように。グツグツと煮えたぎっていて行き場がないような感じ。

残念ながらそんな熱を維持できる人なんて本当に天文学的な確率だ。さっきの鍋の例えを使うならば、まず火力自体が圧倒的に弱火になる。めくらめっぽうな強火のスイッチなんてものがいつの間にか消えてしまう。さらに大人特有の上手な処理の仕方なんて覚えてしまって、水を足したり野菜で埋めるなんてことを覚える。肉だけぶちこんどけ!ってなことはできなくなっちゃうんだよね。

熱を失うとどうなるか?そりゃもっと失うのが怖いからなるべく変わらないようにしようとする。熱ってのは若さとほとんど同じような意味なんだから。「変わらないね」って言われたくなるって寸法だ。久々に会う友人にもなるべく変わらないような振る舞いをする。おお、柏木くん当たってんじゃないの!?

なんて思ったけど、残念ながらやっぱり柏木くんは中学生だわ。その先があるんだよ。だっていつまでも火傷するような熱湯鍋なんておいしくないもの。冷め切った鍋も同じようにおいしくない。

必要な熱だけ残して変わっていけば良かったんだよね。変わるべきところと変わっちゃいけないところをはっきり見極めることみたいなことが僕の年代では大事になってくのかなあという感じ。これが簡単なようでとんでもなく難しい。そもそも変わる時なんて自覚がないことが大半だし、歳取ればとるほど視野も狭くなるからあっというまに現状維持。適切なさじかげんが本当にやりにくい問題。
ちょっと先の未来に「かわったね、かわらないね」なんていわれてみたいもんだ。

明日同窓会らしいので、それらしいことをエッセーっぽく書いてみた。次こそはコメディ全開文で行くぞ!