格好良いとはどういうことだ!?(2)

世界で一番信者の多い宗教は?と社会のテストで聞かれたら、答えはキリスト教で間違いない。世界の人口の3分の1、つまり50億の3分の1だから18億もの人がキリスト教徒である計算になる。18億って言われても全然ピンとこないけれど、とりあえずとてつもないほど沢山の人ってことくらいはわかる。

ただ、それよりもさらにはるかに普及している宗教がある。唯一神「お金」を崇める宗教だ。これはおそらく50億に限りなく近い教徒を抱えているに違いない。

宗教ってのはとんでもなくやっかいな奴で、歴史的に見ても他の宗教を徹底的に排除しようとしてきた。エルサレム奪回のための十字軍だとか、レコンキスタだとか。今、他の宗教を滅亡させてやろうっていう宗教はほとんどなくなったけど、それはつまるところ自分が逆に排除されるのが怖いからだと思う。クラスで憎くてたまらない奴がいて殴りつけてやりたいけれど、殴り返されるのが嫌だからおとなしくしているようなもんだ。

じゃあ仮に世界の99パーセントの人間が一つの宗教を信じていたとしたら。そして残りの1パーセントが全く逆の思想を持っていたとしたら。さらに、99パーセントがユーカリの葉を神のように扱っていて1パーセントがコアラを神のように扱っていたとしたら。コアラはユーカリ以外の物を食べることができない。するとどうなるか?間違いなく残り1パーセントとコアラを地球上から排除してしまうと思う。

これを「全てがお金でまわる世の中」に置き換えれば、当然お金なしで生きていくことはほとんど不可能になる。(もちろん上の例ほど極端ではないから、一部ではお金なしで暮らす人々もいるけれど)。
宗教に置き換えれば、金を持っている人が神、あるいは神の代弁者ということになる。「お客様は神様です」とは上手いこと言ったもんだなあとつくづく思う。

ただ、一方で「お金で買えないものは沢山ある」という考え方も存在する。例えば陳腐だけど「愛はお金では買えない」。ただ、僕はこれはちょっとどうかなという気がする。livedoorの社長、堀江貴文が「金さえ持てばいくらでもイイ女が抱ける」と著書に書いたことが話題になっているけど、基本的には正しいかなと思う。もっとも、見てると相当風当たり強そうだけどね。理屈で言えば、見た目がすごく格好良いからモテるってのよりよっぽど健全な気がするけど。金持ちの息子とかならいざ知らず、自分の力で富を築いたんだからねえ。たまたま容姿端麗に生まれた人よりよっぽど努力の結果だと言えるハズ。

ただ、一般庶民(もちろん僕も含む)は当然こういう発言には嫌悪感を示す。「お金で買えない物」の存在を信じていたいからだ。小市民の唯一の拠り所を金持ちに否定されるのが嫌なんだ。宗教に例えるなら、唯一神は絶対的なものとして存在してしまっているけれども庶民のための八百万の神に存在していて欲しいという感じかなあ。唯一神に触れることができるのは司祭クラスの一部の特権階級だけだから。

唯一神がいるのに八百万の神を信じようとするなんて、ちょっと考えればとんでもなく矛盾に満ちた話だ。逆にそうしなければやりきれないとも言えるけど。心の底で悲鳴あげるしかない。世界の中心で、愛をさけぶって感じ。

それでも八百万の神側としては、矛盾を抱えながらもやっぱり無理矢理な屁理屈こねてでも自分を納得させるような答えが欲しいんだよねえ。僕の場合、その表れの一つが美意識に現れている気がする。(続きます