8月の読書。

キノの旅(4) 時雨沢 恵一

まずい。完全に芸風が固定だよ作者。良く言えば安心して読める。悪く言えばマンネリ。一貫して現代風刺が色濃いけど、風刺で終わってるのも惜しい。押し付けがましいのは嫌だけど、風刺する以上何らかの責任を取る意味でも何らかの立場表明が欲しいところ。毎回やれとは言わないからさ。6点。

キノの旅(5) 時雨沢 恵一

ぐだぐだ感が。たしか全七巻だったから、うまいところで辞めたもんだと思う。最初読んだ時は衝撃的だっただけに惜しい。意外に芸風が狭いのか?次回作を読めばわかるかな。といいつつここまできたからには残り6,7も読まないと。

エーゲ海の修道士―聖山アトスに生きる 川又 一英

ここまで期待が裏切られた経験はないくらいつまらなかった。実際に体験したことについての魅力的な文章の書き方は大きく分けて「自分の言葉で多少おおげさな書き方をして読者を引き込む」か「事実をたんたんと語ることでその事実のリアリティと凄みを際立たせるか」だと思う。二つめはその対象物が魅力的なものであることが前提だけれど。そういう意味では、女人禁制の孤島で日々を祈りと自給の仕事のみに費やすキリスト教徒の姿なんてのはどう書いたって面白くなりそうな題材だ。それなのにひどくつまらない。理由は簡単。構成があまりにも魅力がないのだ。「アトスではこんな人がいる、こんな風習がある→自分は前はこんな風に思ってた→共感できる部分はあるけど僕にはとてもできない。すごいなー」。ひたすらこの繰り返し。別にこの3段論法自体は別にそんなにひどくはない。ただ、ページをめくってもめくってもこの繰り返しなのである。必然的に文章が短調になる。話題自体に興味はあるのに、文章を読むのがだるくなる。というわけで結局最後まで読むことなく挫折。もっと文章力のある人で同じ題材を選んでいる本に再び出合えることを祈ろう。3点。

今月ははずれ月か?今借りてる本の中に、僕の中ではまず間違いないとされている乙一が含まれているのでとりあえず9月はもうちょい当たりに出会えているはず。